●今回の研究会●
今年の研究会は、2月の冷たい空気に硬くなった体を、優しく暖め、和らげてくれる愛児園のお部屋(箱舟のステンドグラスの部屋)で行われました。
報告会では、幼少期をシュタイナー幼児教育を実践している保育園で過ごし、にじみ絵を描いて育った経験をお持ちの有川優子さんと、岡山市の公立保育園で保育士として23年働いてこられた長光千住子さんのお話を伺いました。
***有川さんのお話***
有川さんは現在、大学院で幼児教育を研究されています。
今回は、ご自身の乳幼児期の体験がきっかけで研究テーマに選ばれた「シュタイナー教育のにじみ絵に関する一考察」という卒業論文と合わせて、保育園時代の思い出を語ってくださいました。
シュタイナー教育を知らない人にも、にじみ絵やシュタイナーに関心をもってもらえるようにまとめられている卒業論文は、母園で子ども達と一緒ににじみ絵の時間を過ごして調査したものでした。
持参してくださった有川さんの幼児期のにじみ絵や保育園でのお話、クラスの担任の先生手作りの「きれい」で「ステキ」なお誕生日カードからは、懐かしく、いとおしい思いがあふれていました。
”いい幼児教育を受けられた”という気持ちが参加者の皆に伝わったようです。
***長光さんのお話***
長光さんは現在、障害をもつ園児を担当されていて、プレイ(遊びの時間)でにじみ絵の取り組みを行われています。大きなホールしか空いている部屋がないため、パーティションで仕切ることで子ども達が落ち着ける小空間を作ることや、絵カードを作って道具の使い方とにじみ絵の手順をわかりやすく伝える、といった工夫をされていました。
また、子ども達の色への興味を引き出す教材として、クラスの子ども達皆で協力して作ったトランスパレント折り紙や、空容器にトランスパレント用紙の小紙で飾りをつけたランタン、色セロハン紙で混色を楽しめる教材等、さまざまに工夫されていて、その実物を見せてくださいました。
「枠にはまらないで、芸術を子どもに感じてもらう大切さ」
「子どもに合わせた目線の大切さ」を改めて感じました。
にじみ絵の経験や活躍する場所は違うお二人ですが、にじみ絵に寄せる思いを、自分の置かれた場所で丁寧に具体化されていることは共通しているように思います。
まだまだお聞きしたいことは沢山ありましたが、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
心を込めて準備していただいた、お部屋の窓飾りやお菓子、お茶にほっこりしつつ、発表して下さった方への感想やアドバイスを書いて、締めくくりとなりました。
充実した時間をありがとうございました。
(レポーター:宇津木七実&田中あづ紀)
●有川様からのメッセージ●
先日はお世話になり、ありがとうございました。
先生方から様々な感想やアドバイスを頂き、とても勉強になりました。
まだまだ課題が残されている卒業論文に関して、このように紹介して頂ける事、大変嬉しく感じています。本当にありがとうございます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
●長光様からのメッセージ●
研究会では、貴重なお時間をありがとうございました。
先生や皆様から励ましのお言葉とアドバイスを頂いて、とても楽しく良い勉強をさせていただく事ができました。新しくなった愛児園も拝見でき、本当に嬉しかったです。
これからも機会があればぜひにじみ絵を続けていきたいと思います。背中を押して頂いた感じがして、今後の励みになりました。いただいたアドバイスを胸に、これからも子どもたちのために試行錯誤を繰り返しながら頑張っていこうと思います。
また皆様にお会いできる機会を楽しみにしています。