*シュタイナー教育で繰り返しにじみ絵に取り組まれるのはなぜ?

水に関わることで、エーテル体(生命体)を育て、

美しいものに触れることで、調和の心を育てるから。

幼い子は生命力があり、水彩を求めている。赤ちゃんは80%が、大人は60%が水。

 水彩には、「水と私が1つになる」「色が流れていく自由さ」がある。

 光と水の輝きがある。(レンブラントや印象派の作品のように) 

 

*エーテル体は繰り返すことで強くなるので、繰り返すことが大切!

「命」もバランスが大切。治療教育の使命はバランスを取り戻すこと。

美しいことは道徳的。禁止や戒めではなく、共同体やコミュニティを成り立たせる意志の力が必要。私たちは自然の一部、人間が傲慢にならないために、周りに緑があり、整えられた環境が必要。克服するということは、生命力を強めることになるので子どもが喜びの中で体験できるようにすることが大切。

 

*芸術はとても大切なこと。

芸術は無から有を生み出すこと、新しいものを作ることは神様と同じ行為。

何もないところに色を描く(生み出す)のは創造行為

「毎日5分間の行」も無から有を生み出す行為であり、シュタイナーが薦めている。

(これについて詳しくは後述)

 

*にじみ絵をする時の配慮について

☆2才ぐらいの子に対して

・色の影響を受けすぎないよう、絵具を薄めにしてあげるとよい。

・疳が強い子には、赤い絵の具を薄めにして与える。

・ピンク(淡い赤色)は人生の曙の色、人生をスタートした幼稚園児にふさわしい色。

・3歳前は感情の領域が未発達。

 (子どもが他の子をぽかっとたたいた時、「ダメよ。」と言うのではなく、その子の気持ちを代弁し      てあげるように「これが欲しかったのよね。欲しいのね。」というように語りかけることが大切。)

・まだ筆を持つことが難しい子にさせてあげることは絵の具の皿を洗うなどのお手伝い。 

・「クレパス画の日」「水彩の日」と決めて取り組む。子どもに選択させるのではなく導いてあげる。

・何かトラブルがあったときはクレヨン画を描いて気落ちをリセットさせ、その後、水彩画を描く。

 ☆3才位の子に対して

・3歳で感情の領域が発達する。色は感情を現わす。

・にじみ絵を描いている時、色の世界に没頭しすぎると、色の影響を受けすぎる。

(そんな時は「ほら、お空見て」などと言って、気を紛らわせてあげる。)

 

 

*下の兄弟が生まれて不安定な気持ちを抱いている子に対して

にじみ絵の中で、虹のアーチが途切れている、縦線が揺らいでいるなどの表現が見られる時がある。

寂しさを感じている子がそういう表現をすることがある。そんな時、「赤ちゃんは何もできないから

私がお世話しているの。私もあなたと居たいけれど一緒にいられなくてごめんなさい。」というお母

さんからのラブコールを大切に!どこかで時間を作って、その子のためにカモミールでの温シップ、

わらべ歌を歌いながらの手遊びでのふれあいの機会を作る。

 

*年中の頃の子が描くにじみ絵の世界は、天界(生まれる以前の世界)の思い出であることもある。

 天界ではすべてが融合していて境界線がない。この頃の子が描くにじみ絵にも境界がない。

 

*形について

・クレヨン画では線を描く。

円を描いている時は、右回りか左回りか観察する。始点と終点を意識する。

・3歳前は円が閉じない。それは子どもの成長・発達(身体)に関係する。

・3歳になると縦横の線を描き自我の育ちが見られる。

・子どもがアーチを描けるのは、その形を持って生まれてくるから。

 アーチには覆い、守られているという意味がある。

 

*自閉傾向のある子供に対して

・紙に筆の金属部分の跡が残る(力のコントロールが難しい)子どもに対しては、子どもの手の甲に筆で優しく撫でるようにして、筆を優しく使うことを伝える。

・自閉傾向の子どもには青を5分以上描かせ、補色の色の明るい色(黄色・オレンジ)を内面に生じさせるのがいい。(幼い子は描いている色の補色を内面に宿す。)

・先生が青色を身につけたり、青い遊び布を用意することもいい。

・トランポリンをすると落ち着く。(トランポリンは天と地をつなぐ行為)

・自閉症である子どもの内に「自分の願いを果たすために、どんな意志や願いを携えてきたのか」を見ようとする。その子を見つめ、よい面に目を向ける。「天使のスパイラル」

 

*死んでもなお残るのは、願い・希望・意志

 

この世に生れてくる時、人は宝箱に「今世で果たしたい願い、希望、意志」を携えて持ってくる。

 

*妊娠16日までに母体にショックな状態が起こると…

胎児はこの世界に来て良かったのか?と感じる。そんな時、親がしてあげられることは、「私はあなたを愛している」「あなたはかけがいのない子」「永遠なる自我(*神聖なる自我)を持っている」 という思いを持つこと。

 

*毎日5分間の行

何か初めてのことを毎日5分間続けると、3カ月で、新しい自分が生まれてくる。

1か月目:最初はつらい。

2か月目:慣れてくる。

3か月目:身についてできる。「私は〇〇できるんだ」と実感する。

エーテル体(見えない力)は形作る力を持っている。新しい私を生み出すことができる。=芸術行為

         

☆肉体は老いに向かっていても、新しく生き続けることができる。   

                                   文責:田中・田村  

●● 参加者の感想 アートセラピー講座 ●●

長い間やってみたい思いがあったにじみ絵。

こんなにも1つひとつの色に丁寧に触れた時間は無かった…と思うほど毎回色を感じ、考えられた時間でした。暮らしの中に色はあふれているので、いつもは感じきれていないですが、この講座を通して色の魅力を感じ、自分の暮らしにとって大切だなぁと感じました。


単色、混色と順番にやっていくことで、、それぞれの色の持つ力を体で感じることができました。どの回も丁寧な進み方だったので、五感を使って色を感じ、色を楽しむことができたように思います。


色に心をむけることがこんなにも楽しいものなんだ…と感じることができました。今後の自分の活動にもつなげていきたいと思います。自分の世界が広がったように思います。


どの回もわくわく楽しみで、満足できる内容でした。ありがとうございました。

(クラフト作家 T・M) 

 

―色のお話づくり―
一枚一枚の絵も素敵だけど、ちょっと物足りないものもある~。ところが、お話をつけてシリーズで見せてもらうと、それら全部がその人を表していて、とても素敵でした。

色のお話づくりってどんなことをするのかな?と思う方は  こちら

   アットホームな雰囲気でミーティング
   アットホームな雰囲気でミーティング

 ―全体を通して―
私はにじみ絵がはじめてではなかったので、いろいろ考え過ぎたりしましたが、自由になるためにいい刺激になりました。1色1色のについて深く考えることもでき、家で身のまわりの色に反応している自分がいて楽しかったです。

また、素敵な仲間たちと知り合って、気持ちをシェアーできたのも、とても楽しかったです。

(美術教師 H・N)


●●色の世界をめぐって●●

2016.4.10

・色あそび 自由

いつもより少しあらたまった気持ちの自分が居ました。春 色とりどりの花々が順番に咲き、春の訪れを喜んでいるかのように咲き、日々の中で目に飛び込んでくる花が自分の中にある春に、あらためて気づかせてもらった気がしました。にじんでいく様や色にほわっと温かい気持ちが胸に広がりました。じんわり楽しめました。

 

・今日の気分の色で描いてイメージを持って描くことで使う色が変わり、今まで出会わなかった色に出会えることがある。ぴったり々色ではないですが、じんわり温かい気持ちが自分の中に広がる感覚は味わえた気がします。色は出会って「こんな色になるんだ。」にじみ具合も色々できづきがあることがとっても新鮮で楽しかったです。これからも新たな発見を自分の中で感じることが楽しみです。

 

2016.5.8

・テーマ「赤」

 赤を画用紙に置いたら、命を育む生命エネルギー、子宮の中でお母さんから栄養をもらいながら育っていく小さくとも力強いエネルギー 互いを守り合い、又満ちあふれている あたたかさのある赤
母と子を行き交う血や気や愛など、イメージとして湧いてきて、温かい気持ちや活力を感じました。色が色を包んでいく赤のまざり具合が心地良かったです。

 

・テーマ「緑」

 森の緑 春の森 生えている木々によって 若芽から青葉へと移りかわるタイミングがちがうので様々な緑が入りまじりグラデーションをつくり出す。 又 池や湖の水面に映ったそれらは 水や光、影などを含む色はまたちがった風合いになる。黄色とブルーの出会いで 深い緑から淡い緑 色々な緑に出会っていくことが新鮮で森を散歩するようなすがすがしさがありました。

 

 

2016.6.12

・黄色

レモンイエローをぬり広げた上にゴールデンイエローをのせていく中で ふわっと あたたかいものが生まれていくイメージが湧いてきました。花のような ひよこのような かたまりがいくつか生まれました。生まれていく喜びを感じました。

 

・紫

はじめ 青より赤よりに傾きがちだったように思う。あづ紀先生のアドバイスによって 青と赤がまざり合うことに意識が向けられ 「あ、まざった」という感覚が味わえました。
もう少し違う紫をつくれたら、また楽しいだろうと思いました。ダイレクトに 色を感じながら 描いた感じがしました。

 

2016.7.10

・ブルー

水浴びしているような涼やかさがありました。海のイメージが湧いてきて 空とのコントラストから波が湧き 海中へ 波間から魚が浮かんできて 静かなわくわく感を楽しむことができました。

 

・オレンジ

黄色に赤をのせていく感じと赤に黄色をのせていく感じが 自分の中でまったく違うものに思えました。今回 赤に黄色をのせて オレンジをつくる方がしっくりきました。暖かさの中に 元気が出るフレッシュな感覚が湧いてきました。無心になって 只々 色と向かい合っていたようにも感じました。

2016.8.21

・色環

色を並べていくことが好きです。画用紙の上で混色していくことが心地良く感じられる反面 どんどんかわいていく水分との追いかけっこが気になり ちょっとあせっている自分が居ました。グラデーションや色のバランスが難しいと感じました。そこが楽しい所でもあると思いました。紫がなかなか今日は出づらかったです。どっぷり青につかっていたい自分がいたかもしれません。
描き終えた後 心のバランスが整ったような安定・安心感が芽生えた気がします。今の自分にピッタリくるのはブルーです。

 

・ベーシックコースを受講して

色ひとつひとつにじっくりと向き合えてにじみ絵を楽しむことができました。それぞれの色が持つ意味や心や体へのはたらきかけや作用を学べたことも興味深かったです。大人の私でも 心満たされることや開放的になれたことがありましたので 心が育つ幼児期・児童期に子ども達がにじみ絵を体験できることは 成長の支えになるとより感じました。アドバンスコースへ意欲を持って 進んでいきたいと思える自分がいます。

私は 6回コースでゆっくり学ばせて頂くことが向いていたと思います。シュタイナー教育はどんなもので どんな思想のもとにじみ絵をとりくまれているのかのお話が興味深くもう少し聞いてみたと思いました。

(保育士 今村和歌子) 

 

●● 参加者の感想  ●●


* 田中あづ紀先生に学んで  主婦

私にとってとても実になる学びが本当にたくさんありました。思いきって行って良かったです。久々に色んな感触に触れたのでとても満たされてしまいました。
受け入れてもらえた皆様や環境に感謝です。
先生ににじみ絵を指導して頂けた事をとても嬉しく思っています。
見せて頂いたあづ紀先生の描かれた絵にはどれもたくさん光が含まれているようでとても好きでした。

* 赤色をテーマに 子どものアトリエ主宰
色というものにこれだけ向き合えるのはにじみ絵独特なのかなぁと思いました。もっとこうしたい、ああしたい、だけどうまくいかない。そんなことをしているうちに、赤という色が私の中に入ってきました。“赤”は元気な色ですね。

* オレンジ色をテーマに 児童館職員
オレンジ色の気分ではなかったのですが、描いているうちにどんどん解放されて、楽しくなってきました。今までで、いちばん心とつながれた気がして、うれしい気持ちです。
 

 

* 黄色をテーマに 幼稚園教諭
少し寒い朝で身体が固く感じていたのが、黄色を描くことで心身ともにふゎーっと軽く元気が出た様な気がしました。
黄色と紫を共に描いた時には、紫がより深く、黄色がより輝く様に感じました。

 

* 緑色をテーマに 介護職員
心地よかった・・・。たっぷり浸って堪能できました。

黄と青が混ざりあって淡かったり深かったりの、緑の世界が光の

当たる森のようでとにかく心地のよい世界でした。
 

* 青色をテーマに 子どものアトリエ主宰
日常生活で青が好きだと思ったことは無かったのに、青色を描いている自分が今までで一番居心地がいいことにびっくりしました。
ずっと、どこまでもぬけていくような、すがすがしさと、どっしりと重く固い感覚の2つを同時に体験することができ、青色ってなんて幅の広い色なんだろうと、青がとても好きになりました。
青色は天空から地中奥深くまでつらぬく色と聞いて、「わぁ、かっこいい!」と、ますます青色にあこがれを抱くようになりました。

 

* 紫色をテーマに 幼稚園教諭

赤と青で紫を作る…と頭ではわかっているのに、青をおき、赤をおきをくり返しながら、なかなか思うような紫に落ち着いてくれない。心の中はいつまでも青だったり、赤だったり、紫の心になれなかった。
 時間が経つうちにやっと少しずつ少しずつ心が紫に満たされ始め、筆をおいた。最後まで、赤と青が交互に心を占めて、心いっぱいには紫が広がってくれなかったが、描き終わってから描いたものを眺めていたら、じわじわと紫が心を満たしてくれた。不思議な紫・・・。

 

* 色環をテーマに 主婦
とにかくバランスよく色を配置するのが難しかった。
自然界にはありとあらゆる色が満ちあふれていて、その色を見ることができ、感じることができる幸せをありがたく思った。

 

 

* ティータイムのひととき  ストーリーテラー
描いた後のお話(説明&シェアリング)タイムも大切な時間でした。自分が描くことも大切ですが、皆さんの絵を見て、お話を伺うのも

とても楽しく、よい時間でした・・・。

 

 

* にじみ絵教員養成講座を受講して

にじみ絵コースを受講して、普段当たり前に目にしている色が、とても新鮮なものの様に感じられるようになりました。にじみ絵の時間はとても癒されました。

 

これまで、自分の内面を色で表すというようなカラーセラピー的癒しも体験したことがあるのですが、にじみ絵から得られる癒しはそれとは違っていて、色そのものが持っている大きな力に包まれて癒されていくという感じの癒しだったように思います。コースで描いたそれぞれの色はそれぞれ違った性格をしていて、それぞれ色はそれぞれが望む動きやリズム、重さや温度などが有るような気がしました。もちろんそれは私の中の私の感じ方なのかも知れないし、人それぞれの感じ方が有るだろうけれど、ただ単に私が勝手に感じていることでは無くて、もしかすると色そのものに生来備え付けられている性質に私が触れているのかもしれないという感覚を持ちました。

 

そしてそれぞれの色の性質に喚起されて、私の心も動き回り、いつの間にか満たされて、自由になっていきました。それで癒されたのだと思います。

 

私は絵を描くのが好きで、暇さえあれば絵を描いていますが、以前にもまして色を美しいと思うようになりました。どうしてこんなにきれいなものがこの世界にはあるのかしら…なんて思うほど、色の世界は私にとって神々しくて神秘的な世界になりました。大げさな感じ方だけれど、そんな風に思って絵を描いていけるのは幸せだなと思います。

 

思い返せば、仕事に行き詰まり、田中先生にヘルプを出した頃、私はにじみ絵を子どもに教えるための方法を知りたいと言う気持ちでいっぱいでした。その事を先生にお話した時、先生は「自分が色の世界に慣れ親しんできたら、その経験がにじみ出て、自然と子ども達にも伝えたいことが伝わると思う。」というようなことをおっしゃったと記憶しています。今はその言葉が、そうなんだなぁと思うようになりました。

 

子どもににじみ絵をどういう手順で教えようかとかプロセス云々も大切だけれど、それより私自身が色に親しみ、美しさや不思議だと思う体験を沢山した方がいいなと今は思います。そうすれば子ども達ともっと色についてのいろんなことを共有したり、一緒に考えたり、発見したりすることも出来ると思いました。

 

にじみ絵教員養成講座を受講できて本当に良かったとおもいます。素晴らしい機会を作って下さり、本当にありがとうございました。

(Y・M)