今年は、高橋先生と田村先生にご報告いただきました。
保育園児(3才~5才)が描いたにじみ絵と中学生が描いたにじみ絵を同時に見ることができ、とても貴重な機会となりました。
愛児園の会場には、手仕事の会のメンバーの作品も飾られていました。
おふたりの報告内容を、以下に掲載いたします。
♪高橋さま(保育士)からの報告
にじみ絵の色が、高橋先生の保育園で使われているターナーの透明水彩絵の具の色だったので、先ずそこに目をひかれました。
ターナーの赤・青・黄の色は、プリンターのインクのマゼンダ・シアン・イエローの色味なので、絵もやわらかい色合いになっています。
勤務先の保育園で実践する時の問題点や、園児に対する心くばりなど、たくさんのお話を伺いました。
*高橋先生がにじみ絵の効果を感じられたところ
・ふだん感情を表さない子が鼻歌を歌いながら描いていた。
・無口な子が自分から「やりたい!」と意思表示をする。
・よくトラブルを起こす子が、最初から最後まで「楽しいなぁ」と言いながら描けた。
保育園に集ってくる子どもたちの家庭環境は様々。
その家庭環境とも重ね合わせて、子どもの内面を垣間見るのに、とてもいい機会だったそうです。
高橋先生の思いに賛同する仲間がでてきて、流れが生まれますように。
個人的には、「画用紙を色でいっぱいにしようね。」という声がけは使わせてもらいたいと思いました。高橋先生、ありがとうございました。(文・西村慧)
コメント
3才・4才・5才児のにじみ絵をならべて見て、それぞれの年齢の特徴がでていると感じました。
と同時に、同じクラスの子ども達のにじみ絵はどことなく同じ空気があって、担任の先生のカラーも感じました。それは子ども達が先生自身からも、色や空気感を敏感に受け取っているということなのでしょうね。(田中あづ紀)
♪田村さま(美術教諭)からのご報告
田村先生は公立の中学校で美術の先生をされています。美術部の顧問もされていて、美術部での取り組みに関しては、先生の方からはテーマを決めず、生徒の自由にさせたいと思っておられるそうです。
が、中学生ともなると、ぼんやりと色の流れを楽しむだけというのは難しいようです。
にじみ絵をした時は、授業でやった現代アートの手法を取り入れてみたり、誰かが始めた技法を真似るだけだったり…。どうしても、正解を探したくなるのでしょう。
5人くらいの絵がならべられたところで思ったのですが、違うようで、なんとなく似てます。
全然違う絵って無いのが不思議でした。隣の人の様子を見ながら描くからかなぁ。
年齢的には、グループを作る時期だということなので、そういう影響は大きいのかもしれません。
ひとり線描を得意とする子がいて、その子はにじみ絵には参加しなかったそうです。。
私もそうですが、空白を残したくなるのですね。全部、色の世界というのが少し重苦しく感じられるのかな。そのあたりの心理をもう少し考えてみたいです。
1回目にはとまどっていた子ども達も、2回目には勝手がわかったのか、
ちょっとだけ自分をチラ見せな感じ。それも中学生っぽいといえば、それっぽい…。
田村先生、すごく参考になりました。ありがとうございました。(文・西村慧)
コメント
中学生の頃というのは、物事の法則性を知り、それを取り入れることで、
より良く表現できることに喜びを感じる時期だと思います。
ですから、たとえば青の本質を知り、それを自分なりに表現するという目的に向かって、納得のいく表現を模索することには集中できるし、その中にしぜんに個性が現れてくるように思います。
が、全くの自由を与えられると、何をすればいいのかわからない子が多いと思います。
中学生のにじみ絵をじっと見ていて、幼児期とは全く違う成長段階に居ることをリアルに感じることができました。(田中あづ紀)